- 人気ユーチューバーヒカキンさんの手術動画
人気ユーチューバーのヒカキンさんが好酸球性副鼻腔炎になり手術を受け、その詳細を動画に公開したところ投稿後6日で855万回再生されています(【ご報告】指定難病になり入院して全身麻酔で手術することになりました)。
ヒカキンさんは子供のころからアレルギー性鼻炎で鼻が悪かったのですが去年から症状が悪化しついに手術となったようです。
- 好酸球性副鼻腔炎とは
好酸球性副鼻腔炎に関しては当院ホームページのコラム(隠れ好酸球性副鼻腔炎にご注意を | tada)でも取り上げております。以前はかなり希な病気とされておりましたがここ10年ぐらいで徐々に増加しここ数年当院で手術を受けられた方の約半数は好酸球性副鼻腔炎です。好酸球性副鼻腔炎は人の免疫機能が暴走した結果、好酸球がたくさん組織に出てくることにより炎症が起き副鼻腔という鼻の周りの空洞の粘膜が腫れたり粘っこい粘液が貯まり発症するのが原因です。
ヒカキンさんの場合粘膜の腫れにより目の上にある前頭洞という空洞の出口がふさがってしまい、飛行機に乗り、降下の際に空洞の内部で陰圧が形成されその結果激烈な頭痛がきたした為手術を決断されたようです。
- 好酸球性副鼻腔炎の症状と治療
ヒカキンさんのように激しい症状が出た場合は手術を含めた治療の必要性が理解されやすいですが、当院のコラムで紹介しているような粘っこい粘液がのどの奥に流れてくる後鼻漏や嗅覚障害や頭が重い感じなどの軽い症状が続いている方も多く、この病気を持っているにもかかわらずちゃんと治療を受けられていない方はかなり多いと思います。
特に診断面では見ただけでは専門の耳鼻咽喉科医でも正しく診断できないこともあり、CTスキャンなどによる画像診断が必要です。
またアレルギーの採血検査でもスギ、ヒノキやハウスダストなどのアレルギー物質に対する反応だけでなく白血球の中にどれぐらい好酸球が出ているかという検査も必要です。
アレルギー性鼻炎だろうと考えてアレルギーの薬や軽い抗生剤を服用しても良くならない場合やいったんよくなってもしばらくするとまた悪くなる場合は好酸球性副鼻腔炎の可能性を考えて検査をしっかり行いその検査結果に基づき治療を行うのが良いと思います。
好酸球性副鼻腔炎の治療で最も重要なのは手術治療でヒカキンさんも頑張って受けておられました。動画の中でもかなり手術や全身麻酔に関して不安を感じておられましたが、実際に手術となると大変不安を感じられると思います。その不安を解消するためにはできるだけ予想される事態やそれに対する対応を事前に詳細にご説明してご理解いただくことと、不測に事態が起きた場合に連絡できる体制を整えることだと思います。
ヒカキンさんは全身麻酔下に手術を受けられて手術前後に4日間入院しておりましたが、当院の手術は局所麻酔下、日帰りで行っておりますので特に患者さんご自身が術後の経過やそれに対する対応に関してご理解いただくことがかなり重要になってきます。
そのため当院では術後の経過を詳細に記載した文章をお渡しし、更に口頭でもご説明しご理解いただくよう努めております。その結果、患者さんからは大体術後の経過は説明通りでしたとおっしゃる方が多いですね。
またヒカキンさんは動画の中で「手術後に生きて帰ってくるぞ」などと、かなり重大なハードルを乗り越えるかのような発言をされておりましたが、不測の事態が起きる可能性は極めて低く、実際はあまり心配ないというのが実情です。
とはいうものの手術はやはり大変は大変で最終的には患者さんが納得して治療を選択しそれに沿って治療を行うべきで当院でも患者さんのご希望を最優先に治療を行っております。
いずれにせよ今回公開されたヒカキンさんの動画は大変良くできており、好酸球性副鼻腔炎が疑われる方や手術を検討している方、予定している方などには大変参考になると思います。