大阪市の耳鼻科|中耳炎・副鼻腔炎なら多田耳鼻咽喉科医院 
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2023.02.15

隠れ好酸球性副鼻腔炎にご注意を

■隠れ好酸球性副鼻腔炎の症状

 日々診療しておりますと近くの耳鼻咽喉科に数か月間通院しているが鼻の症状が良くならないと訴える方がしばしば受診されます。そういった方の大半は通院中の耳鼻咽喉科で抗アレルギー剤や痰切りの薬の処方、鼻処置、ネブライザーなどの処置、軽いアレルギーですので薬と処置を続けてくださいという説明をずっと継続されています。これらの投薬や処置を継続しても痰がのどに流れる不快な症状や軽い鼻づまりなどの症状が一向に改善しないと患者さんはおっしゃいます。 

 そういった方を診察しますとなるほど鼻の粘膜は軽く腫れているだけで鼻水も少なく、ポリープもなく一見それほど悪い状態には見えませんが、症状の経過が長いのと患者さんのご希望もあり鼻のCT(輪切りに撮影できるレントゲン装置)を撮影してみるとびっくりすることがしばしばあります。副鼻腔、とくに目と目の間にある篩骨洞という空洞に粘膜の腫れや膿のたまっている所見が認められ、採血検査も行うと好酸球というアレルギー的な体質の指標となる白血球の一種の割合が12%と高い値で、この時点で、あなたの病気は好酸球性副鼻腔炎という病気かもしれませんねと患者様に説明します。患者様も大いに納得し好酸球性副鼻腔炎の治療を受け、症状は改善してゆく・・・。 

■隠れ好酸球性副鼻腔炎の診断

 確かにエビデンス(文献)的には好酸球性副鼻腔炎の特徴として鼻のポリープが充満すると書いてあり鼻の中を肉眼でのぞいて見てポリープが無ければ、ああこれは副鼻腔炎、特に好酸球性副鼻腔炎ではないなと考えるのも致し方ないと思います。 

 私自身も病院勤務時代には、数多くの好酸球性副鼻腔炎を見逃していたかもしれません。というのは大きな病院の場合、大抵CT室は診察室とかなり離れた場所にあり、また他の診療科と共用で予約の方や他の至急検査の多数の患者様の合間を縫って私の患者様の至急CT検査を行うのは往復の移動時間、検査の待ち時間などを考えると結構ハードルが高いのです。また、予約となると数週間先となり何度も来ていただくのはどうなのかとか考えだすと、肉眼でのぞいた所見のみで判断しがちになってしまうのです。 

■隠れ好酸球性副鼻腔炎の当院での検査

 一方当院ではCT室は診察室の横にあり診察室から徒歩5秒でCT室にたどり着き、5分で撮影を終えることが出来、CT撮影が本当に手軽になりました。

 その結果、多くの方に検査を受けていただくことができ、鼻の中にポリープを伴わず、鼻粘膜の炎症所見も軽いあまり典型的でない好酸球性副鼻腔炎がかなり多く認められることが分かり、驚きました。当院での手術患者さんの約半数はこのあまり典型的でない方です。やはり副鼻腔炎の診断は肉眼で見るのみでは難しいです。 

※好酸球性副鼻腔炎の典型的なCT画像です。目と目の間にある篩骨洞という空洞に病変が強く認められています。黒い部分は空気が入っている部位で灰色の部位は粘膜が腫れて膿が貯まっている部位です。

■隠れ好酸球性副鼻腔炎の治療

 好酸球性副鼻腔炎は難治性とされておりますが、手術治療、プレドニゾロンなどのステロイド剤の投与(ステロイドの副作用である副腎抑制や骨量減少の程度を確認しながら投与します。)、デュピルマブ(デュピクセント)などの生物学的製剤の投与など治療の流れはほぼ確立されており、その流れを淡々とこなすことにより、まず症状は改善しますし、再発例はほぼ皆無です。それらの治療の前段階であるCT撮影をするかしないかは患者さんの運命を左右する大きな分岐点とも考えられます。 

2021.11.30

副鼻腔炎と頭痛の関係

■副鼻腔炎とは

鼻や目の周囲には副鼻腔という空洞がいくつかあり、顔面や脳のなどの重要な臓器を保護するためのクッションの役割や声を響かせたり、異物、ウイルスや細菌の排除などの役割を果たしております。副鼻腔は目の上にある前頭洞、目と目の間にある篩骨洞、目の下にある上顎洞、上顎洞や篩骨洞の裏側にある蝶形骨同に分かれておりそれぞれの空洞にはそれぞれ出入口がありその出入り口を通して空気が出入りしたり空洞内の粘膜から分泌される粘液を排出することで空洞の内部に空気が充満したきれいな状態に保たれています。

ところが風邪やアレルギーなどの炎症により空洞の出入り口の粘膜が炎症を起こし腫れると出入口が狭くなり空気の出入りや粘液の排出がしにくくなり、さらに鼻の中で細菌の感染がおこると空洞内部に膿が貯まり、その結果さらに粘膜の炎症が強くなり出入口がさらに強くふさがってしまい膿が出にくくなる言う具合に炎症が長引くサイクルに陥ってしまいます。

■副鼻腔炎の症状

単なる風邪による鼻炎の場合は1週間から10日ぐらいでのどの痛みなどの風邪症状の改善に伴って鼻詰まりや鼻汁などの症状が改善することが多いですが、副鼻腔炎が加わると風邪症状が改善後も鼻水や鼻詰まりなどの症状が続くことになります。

特に急激に炎症が強くなり副鼻腔内に膿が急にたまってきた場合たまってきた膿が副鼻腔の壁を圧迫することで頭痛や顔面痛の原因となります。
この貯まった膿の量は一定ではなく膿が増えると膿の圧力により狭くなった副鼻腔の出入り口から膿が排出するため少し疼痛が改善し、また膿が増えると痛みが増すという具合に時間帯によって疼痛が悪くなったり、改善したりすることがあります。

また、歯の根っこの化膿性の炎症が原因で副鼻腔炎を来す歯性上顎洞炎の場合は風邪の症状がなく代わりに歯痛などの歯の症状を伴って頭痛を来す場合もあります。この場合は左右のどちらか歯が悪い側に痛みが出ることが多いです。

副鼻腔炎に伴う頭痛は膿が貯まっている副鼻腔の部位に一致して疼痛が現れる場合があり、上顎洞の場合、頬っぺたや歯の痛み、前頭洞の場合はおでこの痛み、篩骨洞の場合は目と目の間やこめかみの痛み、蝶形骨同の場合は目の奥の痛みなどを来す場合があります。ただ、複数の副鼻腔に炎症を来してる場合は部位がはっきりしない場合もあります。

以上の様に風邪症状やアレルギー性鼻炎の症状、特に黄色い鼻水や鼻詰まりなどの鼻症状を伴う場合や歯痛などの歯の症状を伴う場合、頭痛の原因は副鼻腔炎の可能性がありますので、このような場合はまず耳鼻咽喉科医を受診して副鼻腔炎の診断を行う必要があります。

■副鼻腔炎の診断

診断は副鼻腔の出入り口から膿の排出が認められた場合は鼻の中を見ただけで診断が可能ですが、膿の排出がごくわずかな場合や出入口が完全に閉塞し全く膿が流れ出てこない場合は見ただけでは診断がむつかしく、CTスキャンやレントゲン検査が必要となります。

 

■副鼻腔炎の治療

治療は症状に応じて鎮痛剤の服用と抗生剤、抗アレルギー剤、痰切りのお薬の投与、鼻洗浄や鼻処置、ネブライザーなどの処置などの保存的治療により行います。これらの治療により副鼻腔の出入り口の粘膜の腫れが収まり内部の膿が出ていくと頭痛などの症状は改善します。

 

これらの治療を行っても症状が改善しない場合や症状が繰り返される場合は鼻副鼻腔手術を行う場合もあります。特に目が見えにくくなったり物が2重に見えるなどの目の症状が出る場合や抗生剤が効かないため高い熱が下がらず炎症がどんどん悪くなる場合などはごくまれに緊急手術が必要となる場合もあります。ただ、大半の症例は投薬や処置などの保存的な治療で症状は改善します。
保存的な治療の中で鼻洗浄はご自宅でも施行可能な治療で、特に当院ではハナクリーンという器具を用いた洗浄を推奨しております。詳細は別稿でご紹介させていただきますのでご参照いただければと思います。

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